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 「環境」をめぐる環境の変化に対応する

  一般財団法人日本環境衛生センター
  理事長 南川 秀樹



 謹賀新年。新しい年を迎えて、皆様とともに前進できるよう歩みを進めてまいります。本年の干支は「亥」です。勇猛果敢の代名詞である猪に倣って、環境衛生の仕事に真正面から取り組みたいものです。

 2019年は、公害国会において多くの公害対策法令が制定・改正された1970年から50年目に当たります。環境行政がスタートして、ちょうど半世紀の節目です。新たな法制度のうえに様々な規制が始まり、苦難の時を経ながらも、大気汚染や水質汚濁対策は進められました。健康被害を受けた方々への救済措置も充実しました。

 その後、1992年のブラジルでの地球サミットを経て、より幅広い課題に、地球規模というより広い視点で、新たに「環境対策」としての政策の展開が始まりました。21世紀になってからは、規制中心だった行政へ経済的措置や計画的措置の要素が盛り込まれ、その手段も対象とする幅も広がりました。

 本質的な変化は、行政の手段や対象だけではありません。環境という分野に対する社会の見る目が変わり、環境の仕事をつかさどる行政のスタンスも大きく変わっています。公害問題から環境対策への問題の広がり、環境を改善することが経済や文化の向上につながるという認識の変化もあります。環境の仕事は、特定のグループの関心を惹くものではなく、社会全体が必要とする事柄であり、かつ逃げることなく正面から取り組み、多くの関係者との議論を経て多くの汗を流した後に、初めて成果の出るものだという認識が一般的になってきたのです。周辺の見る目も、環境の仕事に携わる者の認識も変わったのです。

 それは、環境行政をつかさどる面々と、環境の現場、廃棄物処理の現場で働く面々との距離感の変化にもはっきりと表れています。明らかに、行政と民間分野間の仕事の距離が小さくなっています。私は、日本環境衛生センターの理事長として、また日本廃棄物団体連合会の会長として、国や地方の行政に携わる方々と意見交換し、他方、民間の廃棄物を中心としたプラント企業、収集運搬・処理企業、コンサル企業の皆様と頻繁に交流して、その変化を強く実感として受け止めています。

 抽象的な話題は以上として、具体的な環境の課題について述べます。

 まずは、気候変動、地球温暖化対策への取組みです。廃棄物の分野では、バイオマス発電の一環として廃棄物の焼却熱を活用した発電や熱供給事業が少しずつ普及しています。しかし、一般廃棄物の広域処理への変化の遅れなどから、規模の拡大は進んでいません。簡単に越えがたい壁にぶつかっています。また、今後の拡大が望まれる再生可能エネルギーを考えても果たすべき事柄は多くあります。太陽光発電が拡大するなか、その拡大が阻害されることのないように、使用済み、あるいは破損したパネルの適正処理やリサイクルを確立することも重要です。

 プラスチックによる海洋の汚染も、新たな地球規模の課題として注目を浴びています。日本をはじめとした先進国は、従来から国内で処理しきれない廃プラスチックを中国等に大量に輸出してきました。その中国が、一昨年から輸入を停止しました。廃プラスチックによる海洋汚染は、3年前にスイスのダボス会議で緊急の大問題として指摘されました。そうした国際的な流れのなかで、無秩序な廃プラスチックの輸入は国内の環境汚染につながっているとして、中国は輸入の停止に踏み切ったのです。

 やはり、廃棄物は自国での処理が原則です。他国に廃棄物の処理を委ねている間に置き忘れた技術がないかなど、今一度総点検が必要です。リサイクル、熱処理、さらにはプラスチック製品の使用量自体の削減のための施策が採られようとしています。ここでも当センターの役割は大きいと考えます。私は、中国政府の「環境と開発に関する国際協力委員会」の一員として、中国の動きを的確に理解したうえで望ましい解を出すべく、知恵を絞って参ります。国際的な視点を常にしっかりと持って、着実な対応を行います。

 そして、災害の発生は、いまや避けがたい日常の出来事となりました。廃棄物の大量発生とその処理の円滑化、避難所も含めたし尿等の処理とハエ等の衛生害虫対策の徹底も重要な案件であり続けます。当センターの積極的な対応が、多くの方々に喜んでいただけるように尽力してまいります。

 様々な課題を抱えながら、多くの皆様と喜びを共にしながら前進し続けることが、日本環境衛生センターの使命です。「生活と環境全国大会」等の場で多くの方々から寄せられる声に耳をしっかりと傾け、将来の絵姿を頭に描きつつ、半歩先に着実な歩みを続けてまいります。私は、日本環境衛生センターの理事長として、経営者として、常に全職員の問題意識の向上に努めて、多くの皆様のご期待に添うことのできる組織への改革を進めてまいります。

 本年も、日本環境衛生センターにご指導とご鞭撻をお寄せいただけますようお願いいたします。