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変動の年に自らも変わり続ける、「環境価値」を創造する

一般財団法人日本環境衛生センター
理事長 南川 秀樹

このたび発生した能登半島を中心とする地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

環境と衛生の世界では、大きな変化が明らかになりました。暴風雨が世界各地を襲い、多くの地域が長期間水浸しになり、町が崩壊した例も見られます。他方、高温と旱魃は大規模な山火事や農業生産の減少を引き起こしました。さらに、感染症媒介生物の生息域が広がり、ダニや各種の蚊が様々な感染症を引き起こしています。ヒアリなどの外来生物も生息域を広げています。

また、昨今は環境を改善するための環境関連ビジネス市場が拡大しています。新たな資源の採取を減らし、エネルギーの消費や廃棄物発生をミニマム化するとともに、その過程で付加価値を生み出し、新たな成長の扉を開く。そのような視点から環境に関する仕事の内容が広がっています。

JESCも変わり続けることが公のためになり、仕事の発展にもつながると考えております。一昨年はEUタクソノミーへの申し入れを実施し、昨年は廃棄物処理施設のコスト削減策を取りまとめ、環境省に提出しました。毎年新たな事柄に挑戦し、関係企業や地方公共団体の関心事項を先取りしてまいります。また、オンラインでの環境と衛生をめぐる最新情報の提供をさらに充実させ、現場を預かる方々との意見交換を活発にし、それを基に、より新たな話題に挑戦してまいります。

JESCは、視野の広い専門家を育成する機関になってまいります。従来と同じ流れの中では業務を行いません。常に新たな視点を織り込み、皆様が想定されている事柄だけではない付加価値を提供してまいります。現場で働いていらっしゃる皆様へ情報と知見を提供させていただき、私自身も講義の場に立ち皆様と顔を合わせながら、現場を預かる方々が何を欲しているのか、どのようなコミュニケーションをとれば心が通じ合うのかを考えてまいります。これからも、幅広く、企業と県・市町村を結び付けた知見の向上と体験の共有を進めたいと思っております。特に、サステナブルな社会を作るためには、国・地域・企業を結び付けることが重要です。当面する地球温暖化に対する取り組みでも、各方面と共通する意思の形成を図ってまいります。

廃棄物やリサイクルの考え方には大きな変化がありました。今日では、廃棄物の減量化やその処理処分とリサイクルを含めた活用策の向上は、日本の経済健全化の一環としても重要な位置づけがなされています。リサイクル率の正しい算定と表示から、Waste to Energyの在り方に関する検討、産業への資源供給源としての位置づけの明確化まで、新たな視点から取り組みます。

Carbon Neutral, Circular Economy を如何にして視座へ取り込むのか。我々、環境の課題へ取り組む者には大きな課題が突き付けられています。「環境価値」の意味と姿を明らかにし、それに向けて多くの関係者が努力し続けられるような役割を果たしていく所存です。常に、世界の流れを念頭に、新たな流れの中で、自らの変革を断行します。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2024年1月4日