
2026年。
日本環境衛生センターは、MVVで新たな世界を拓きます
一般財団法人日本環境衛生センター
理事長 南川 秀樹
あけましておめでとうございます。丙午の1年が始まります。情熱や変化、激しさを象徴する年と言われます。私ども日本環境衛生センター(JESC)では、新しい年を飛躍の年にすべく、職員一同、心を新たに仕事を始めております。
昨年10月にJESC Innovation Officeを開設いたしました。部署を超えて職員が交流を行い、新しい発想が生まれる創造的な場所として多くの皆様に活用いただきたいと考えています。このInnovation Officeは、さまざま部署の若手職員がチームとなりアイデアや意見を出し合い作り上げました。チームで新しいことに自発的に取り組むという姿勢を、新オフィス実現という実績をもって見せてくれました。これは、JESCがこれからも発展していくために大切な姿勢であると感じます。
また昨年末、JESCとしてのMVV(Mission, Vision, Value)を定めました。これを、組織が成長するための羅針盤として機能させてまいります。若手職員の自発的な意思による提案であり、職員一同各人が何の制約もなく、これからの成長に何が必要かという思いをぶつけあったものです。
Mission:(組織の存在意義と目的)
環境衛生分野の専門性と誠実さを礎に、課題解決を通じて、持続可能な社会の実現に貢献する
Vision:(組織が示すこれからの姿)
人・知・技術をつなげ、地域とともに未来を創る信頼のパートナー
Value:(行動方針や価値観)
・未来を見据えて挑戦する
・課題に真摯に向き合う
・専門性を磨き続ける
・感謝の気持ちと喜びを大切にする
私自身は最近の民間企業のHPなどから、MVV設定の動きが活発化していることは承知していましたが、若手職員の強い問題意識から設定の提案がなされ、全職員が提案と議論に参加し、ここに読者の皆様にお示しできる運びとなりました。さきほどのInnovation Office開設とともに、このMVV策定に際しての職員の活躍を、心から嬉しく、頼もしく感じるところです。
ここ1-2年の日本の状況は大きく変化しています。AIの進歩はすさまじく、これまでの経験した産業革命のなかでも類をみない速さでの技術革新です。このAIの活用により、今や仕事への取り組み方は従来とは大きく異なるようになりました。このAIの進歩は、これまでの常識によっていたのでは何も新しいものは生まれないこと、そして、確実な最適解はやはり人自らが考え、模索する過程からしか出てこないことを明らかにしています。同時に、これまでの常識は過去のものとなり、将来の見通しを立てることは極めて困難です。
過去を振り返っても、馬車の改善から蒸気機関は生まれていません。携帯電話の改善からスマートフォンは現れませんでした。職員には、これまでの常識にとらわれず、まずは、AIを徹底的に使いこなし、そこで出ない解、あるいは方策を考えるように働きかけていきます。
周囲が急速に変化すると、その動向に敏感になり過ぎて大局を見失いがちになります。そうした状況下では、可能な限り遠方、すなわち歴史のかなたから不変の真理を発見し、可能な限り広域の、すなわち現在の社会をできる限り広く視野に入れ、変化の渦に惑わされず不動の目標を見出すことが重要です。これまでにも、既存の社会が強大な転換をした時期が幾度かありました。現在は、巨大な潮流の変化の最中と認識しています。今回のMVVの設定の際にも、変化の激しい時代のなかでこれに流されず発展していくため、今のJESCにとって必要な目標とは何かを考え、これを言語化するにはAIでは得ることのないフレーズを模索し、策定しています。
同時に、最適解を模索するに当たって、何より重要なことは現場に強くなることであり、人と出会い、現場を熟知し、類似例を調べながら徹底的に考え抜き、頭と体をフル回転させて、仕事や知見の習得と整理、そして方策の実践を進めてまいります。
他方、経済活動のグローバル化が進み、新たなチャンスが生まれてきます。また、環境問題は、気候変動、資源循環、自然再興と幅を広げています。確かな見通しを立てることは困難であっても、挑戦への機会は広がっています。
まず行うべきは、JESC内での職員間の相互理解と意識の改革です。各自が担当は異なってもJESCの代表としての意識を持ち、それぞれの持ち場で最善を尽くし続けることが重要です。活力のない組織は職員間でお互いのことをよく理解しあっていない傾向があるといわれます。JESCが新たに川崎駅前に設置したInnovation Officeでは、一切壁を作らない、誰もがそれぞれの仕事ぶりを見ることができるようにしています。お互いの相互理解を、JESC全体に広げ、皆様からのお問合せがあれば、すぐにそれにふさわしい者が対応できるようにしてまいります。
JESCは、これまでの長い歴史のなかで、誠実さと専門性を念頭に、国はもとより、公共分野の皆様、民間で現場を大切に働く皆様との連携を大切にしながら仕事を進めてまいりました。今後とも、環境衛生分野を中心に、その改善に熱意を共有するコミュニティの責任あるメンバーとして、高い志を持ちながら、現実を改善する方策を皆様とともに模索してまいります。
私は、2017年より中華人民共和国環境開発国際協力委員会(China Council for International Cooperation on Environment and Development:略CCICED)の委員を務めております。かつて公務員時代にも多くの国際的な仕事に携わってまいりましたが、いずれも1-2年間の任期という限界があり、海外の親しい友人を得ることはできませんでした。CCICEDへの参加は、マクロな視点からの議論に加え、個人的な付合いを深めるものであり、ある意味で環境マフィアの世界の一部を覗くことができます。ただ、日本国のシステムでは責任ある地位の国家公務員が同じ国際業務を継続することはほぼ不可能です。少しでも私のCCICEDでの経験を様々な機会を活用してお伝えしてまいります。その議論に参加するメンバーは、中国の環境分野の専門家のみならず、アメリカを除く国々や多くの有力な専門家、国連などの専門機関の幹部、世界のNGOも参加し、その場では何を話しても咎められることはありません。中国とEUなどの関係者間の緊密な連携には、世界的な標準がこの場から議論が始まるという印象を受けることもあります。また、中国の議事運営担当者のまじめでハイレベルな対応や、顔認証をはじめとする徹底的な最新科学の活用にも驚かされます。会議に加え、ロボットの研究施設や最新の自動車工場の視察は、きわめて新鮮な感動を与えてくれます。中国は大科学先進国と改めて感じさせられます。これから様々な機会をとらえて皆様にもお話をさせていただきます。
2026年。新しいこの年を皆様と協力し合ってよいものになるよう努めてまいります。
2026年1月5日