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目線を高く、サステナブルな環境を目指す

一般財団法人日本環境衛生センター
理事長 南川 秀樹

 新年おめでとうございます。2025年が、皆様にとって良い一年となるよう願っております。
 昨年は、元日に能登半島の大地震が発生し、災害の恐怖を改めて意識する日になりました。我々日本環境衛生センターからも職員が駆け付け、廃棄物処理等の支援に励みました。地震に加え、台風や大雨は大規模になり頻発しています。いざという時のための事前準備や、計画づくりの重要性が再確認されたところです。私どもも、廃棄物の専門家集団として、環境省のご指導をいただきながら、全国各地の取り組みが進むよう応援してまいります。
 私は、海外の識者と対話するように努めています。皆様との議論を通じて感じることは、豊かで安全な環境の確保はすべての人々の共通の願いであることは認識しつつも、それが環境のためだけではなく、経済活動を活性化させ、多くの人々に環境の改善がより豊かな生活の実現に貢献できるという実感を持っていただくことへの両立の重要性です。気候変動はもとより、適正な廃棄物処理を含む循環経済の活性化、自然再興を含め、国民の求める豊かさと環境の改善の同時達成に向けて活動していきたいものです。
 日本経済の活性化への歩みを感じることができず、「失われた30年」脱却の道筋が見えません。このような時代に取り組むことは限られますが、組織も個人も、新たな分野での開拓にチャレンジすることが不可欠ではないでしょうか。
 多様な分野のリーダーとのお付き合いを通じて教えられることは、社会の変化を先取りして自らが変化していく者だけが生き残れる、成長できるという強い信念です。
 2050年カーボンニュートラルに向けた努力は全ての分野で必要です。また、廃棄物に含まれる資源の有効活用に関する取り組みは、経済活性化の視点からも不可欠です。一方で、過疎過密の顕在化、高齢化は、足元での柔軟な対応も必要としています。地域社会はもとより、経済活性化にも貢献できるサステナブルな視点からの取り組みが求められます。
 国際的な視点の重要性はあらゆる組織に不可欠です。私は昨年、中国やベトナムを訪れ、関係者と議論したほか、現地視察も行いました。廃棄物焼却における日本の高い技術力を再確認すると同時に、各地で新たな施設整備が進むダイナミックな取り組みには驚かされました。また、開発途上国では、大気汚染や廃棄物処理の分野などで日本の取り組みが注目されております。日本環境衛生センターでは、研修生の受け入れを始めとして、JICAとの協力などを含めて、開発途上国の環境改善策に関する協力を進めます。
 地球温暖化は感染症拡大のきっかけになります。感染症を媒介する節足動物の生息域、活動時期の拡大は大きな影響をもたらします。トコジラミの大発生への対応にも着実な取り組みが求められます。
 21世紀最初のQUARTER最後の年になります。私ども日本環境衛生センターは、新たな発展へ向けて歩みを進めてまいります。皆様のご指導、ご鞭撻をお願いいたします。

2025年1月6日