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深い思考から創造性を生み出し、社会に貢献する

一般財団法人日本環境衛生センター
理事長 南川 秀樹

 2021年が始まります。今年が、コロナ禍から解放され、東京五輪・パラ五輪の開催を心から楽しめる一年になることを強く願うものです。
 さて、昨年を振り返ると、COVID-19に翻弄された365日であったと感じています。コロナ禍は、今も世界全体に暗い影を落としています。私どもの仕事からみれば、廃棄物の収集運搬という仕事が多くの市民から社会に不可欠な役割を演じていることが、改めて認知されたのではないでしょうか。反面、ゴミ袋には、使用済みのマスクや弁当箱など、コロナ汚染の可能性のある廃棄物があるかもしれません。私どもでは、環境省の指示を受け、収集運搬に携わる皆様の健康を守るための指針策定をお手伝いしてきました。また、地元である川崎市の協力を得て、廃棄物の収集運搬作業時における留意点をまとめた映像の作成提供を行いました。
 COVID-19対策として広く社会に認知されたソーシャル・ディスタンスという概念は、テレワークの拡大という新たな仕事の流れを誘引しました。ワーケーション等により、人口の流れが変わりつつあります。分散型社会への移行のステップと捉えています。さらに、日々の人や仕事との付き合い方、距離感を考え直す機会も生み出しています。適切な距離の取り方により、従来とは異なる、安定し、かつ創造的な仕事への挑戦も始まっているように感じます。
 菅義偉新総理による最初の国会での所信演説で、2050年カーボン・ニュートラルを目指すと宣言され、そのなかで、温暖化への積極的な対応が産業構造や経済社会の変革をもたらし、その推進を大きな成長につなげていくとの考え方も示されました。アメリカでは、ジョー・バイデン前副大統領が新たに大統領に選出されました。トランプ政権が脱退したパリ協定への復帰が明らかにされています。国内的には分断ではなく統合、一国主義ではなく国際協調のうえでの政治の実行、そして、雇用と環境正義のために多額の新規投資を行い、クリーンエネルギーへの転換も進めると提示されています。中国も含め、世界主要国の脱炭素化は大きく進んでいきます。当然、わが国でも廃棄物や各種環境衛生の分野でもこれに対応していかなければなりません。
 海の廃プラスチックによる汚染への対応も待ったなしです。世界経済フォーラムによる海洋の汚染摘発に続き、中国による汚れた廃プラの輸入禁止措置が実行されたことで、世界がこの問題に目覚め、政策が大きく動き始めました。単なる廃プラの処理ではなく、3Rを超えた次元の対応が求められます。循環経済の新たな時代が始まろうとしています。
 こうした状況を受けて、廃棄物に係る企業も大きく変わりつつあります。法律などの既存制度のもとで真面目に仕事を進める次元を超えて、会社としてSDGsを目標に掲げ、社員が一丸となって、社会のためになる、未来のためにもなる仕事に取り組もうという力強い動きです。
 私ども日本環境衛生センターは、昭和31年の設立から60年以上にわたり、環境と衛生の分野について、国内はもとより、海外も視野に入れて仕事してまいりました。多くの関係者の皆様に支えられての歩みですが、これまでの路線にこだわることなく新たな世界での仕事に、より創造的にチャレンジしてまいります。先述の気候変動、廃プラ対策については、これまでの取り組みの深掘りが必要です。廃棄物の収集から焼却処理、最終処分に至るすべての過程で従来の取り組みを見直し、現場を支える地方公共団体や企業の皆様の声にしっかりと耳を傾けつつ、広域化、集約化、コスト低減、発電量や熱量の最大化、二酸化炭素の活用などの気候変動対策に取り組みます。また、廃プラの廃棄物としての発生、環境中への排出を防止すべく、新たに提示されたrenewableという概念の明確化と実現に努めてまいります。現場の声、企業の取り組み、国や海外の動向を注視しつつ歩んでまいります。こうした見直しは、当センターが実施する研修や広報分野にも共通した課題です。石綿規制強化という新たな行政需要にも、最高の貢献ができるよう対応しなければなりません。
 地球規模、国際的な分野での取り組みの強化も重点的に進めてまいります。新潟のACAP(アジア大気汚染研究センター)は、アジア地域全体の大気質の改善に向けての日本の中心的機関です。私自身も、中国政府「環境と開発委員会」(CCICED)の国際委員として多くの職員とともに、環境保全と廃棄物、衛生の各方面での活動の活性化に取り組んでまいります。アジア諸国の大気汚染や廃棄物の不十分な処理への対策には、大いなるニーズがあります。
 長年にわたり仕事をするなかで、昔からやってきたことに引きずられ、独創的な発想で仕事に取り組むという気風が欠けているのではないか、もっと何事に対しても興味を持ち積極的に取り組んでいこうという初心に帰るべく、仕事の見直しを行ってまいります。一緒に仕事を進める方々の喜ぶ顔が見たい、いつも笑顔で前を向いて仕事をしよう、何度も何度も深く考えつつ最後まで集中力を切らさず学び思考する、そして仕事の前進を皆様と喜び合える、そんな組織に変われるよう努めてまいります。
 今年1年の皆様のご多幸を祈念いたします。

2021年1月4日