開発コンサルタント業務

JICA技術協力及び資金協力

開発途上国の都市環境改善を目指して-JICA技術協力及び資金協力の実施

 世界人口に占める都市居住者の割合は1960年の33%から2018年には55%と大きく増えており、開発途上国を中心に急激な都市化が進んでいます。途上国ではこうした都市人口の増加に各種インフラの整備やサービスの提供が追いつかず、水質汚染や大気汚染、廃棄物処理などの問題が深刻化しています。こうした問題を改善するため、JESCは環境分野の開発コンサルタントとして、ODAによる技術協力や資金協力を実施しています。

インド:ヒンドゥー教の聖地を流れるガンジス川の浄化を目指して
技術協力プロジェクト「バラナシ市衛生改善プロジェクト」(2020年度~継続中)

 ガンジス川は、インドで聖なる川として崇拝されており、その流域面積は国土の四分の一に及び、インド総人口の約43%がその流域で生活しています。
 しかし、流域の生活・産業排水が未処理のまま流入し、ガンジス川の水質汚染は深刻化しており、水質汚濁の水準を表す生物学的酸素要求量(BOD)は基準値の3.7倍、糞便性大腸菌群数は基準値の440倍となっていました。
 ガンジス川流域のバラナシ市はヒンドゥー教最大の聖地であり、沐浴や観光を目的に1日延べ30万人が訪れますが、水質の悪化が住民の生活環境や観光に深刻な影響を及ぼしています。
 2014年5月に就任したモディ首相は、就任前からガンジス川の浄化を公約としており、日本政府はインド政府の要請を受けて、バラナシ市の下水道施設の改善を円借款で支援してきました。また同市の廃棄物管理や上下水道未整備地区の汚水・汚泥管理を通じた衛生改善を目指す技術協力プロジェクトを2020年6月に開始しています。
 JESCはこの技術協力プロジェクトで、汚水・汚泥管理を担当しています。
コンサルタント6

沐浴するヒンドゥー教信者
写真提供:船尾修/JICA

ウクライナ:廃棄物管理能力の向上を目指して
技術協力プロジェクト「廃棄物管理能力向上支援」(2018年度~継続中)

 ウクライナでは、経済発展に伴う都市化により、廃棄物発生量が増大していますが、その内の9割が適切な中間処理をされないまま処分場に投棄されており、その廃棄物も適切に管理されていないため、処分場周辺の環境が著しく悪化しています。
 このような状況を改善するため、JICAは2018年度に、キエフ市、ドニプロ市及びハルキウ市の3市を対象として一般廃棄物管理の実態と課題、支援の必要性などについて把握する調査を実施しました。この調査を受けて、2020年度からは、ウクライナの一般廃棄物管理に関連する中央政府、地方自治体職員の事業運営能力向上のための技術協力を実施しています。JESCはJICAからの委託を受けて、中間処理技術に関する専門家を派遣し、調査・と技術協力を実施しています。
コンサルタント2

キエフ市の処分場の状況

ブータン:廃棄物管理の改善に向けた体制強化
無償金協力「廃棄物管理改善計画」(2013年度~継続中)

 ブータンでは近年、堅調な経済成長や所得水準の向上に伴う都市化が進展し、国民の生活様式も変化して、都市における廃棄物の発生量が増加しています。そのため、廃棄物処理システムの充実が喫緊の課題となっています。
 このような背景の下、JESCでは2013年度から、JICAの草の根技術協力による廃棄物管理に関する技術移転を行ってきました。また、2019年度には、同国政府からの要請を受けJICAより発注された「廃棄物管理改善計画」の準備調査業務を受注し、廃棄物管理を改善するための組織体制の調査、維持管理計画の策定に従事しました。さらに、2020年度からは、調査結果に基づく無償資金協力事業を同国政府より受託し、廃棄物管理体制における労働安全衛生管理方法の改善、住民の廃棄物に対する意識改善のための指導を現地で実施する予定です。
コンサルタント3

ティンプー市での廃棄物の収集状況

環境省の委託による各種調査

インドネシア:西ジャワ州への廃棄物発電導入支援
環境省調査「西ジャワ州における廃棄物発電導入支援」(2018年度~継続中)

 インドネシアでは2018年に、環境に優しい技術として廃棄物処理施設の導入を推進する大統領令が発出されており、それに基づいて導入対象として国内12都市が選定されています。
 日本政府はこの12都市のうち、西ジャワ州における廃棄物発電施設導入について様々な形で支援を行ってきました。JESCは環境省からの委託を受け、2018年度に西ジャワ州の廃棄物発電事業の現状確認調査を、また2019年度以降は、西ジャワ州調達委員会による廃棄物発電導入に向けた入札・契約の実施に関する技術的支援を実施しています。
コンサルタント4

西ジャワ州での打合せの様子

民間企業海外ビジネス展開支援

日本企業の技術を活用した環境問題の解決:開発途上国における海外環境ビジネス展開を支援

 開発途上国の環境問題の解決には、日本企業が有する様々な技術が役立ちます。JESCは日本企業の海外事業展開を支援することにより、優れた環境技術が開発途上国に普及するとともに、日本企業のビジネスとしても成功するWin-Winを目指しています。

川崎市の官民連携による水ビジネス国際展開を支援

 2020年に、水処理などの分野の知見と国際協力を通じて構築した海外ネットワークを活かして、川崎市が市内の企業などの水分野における国際ビジネス展開を推進する「かわさき水ビジネスネットワーク(かわビズネット)」を、事務局として支援しました。
コンサルタント5

かわビズネットによる
水ビジネス海外展開オンライン・セミナーの様子