廃棄物管理改善・3R推進に向けたネットワーク・ハブ

地方自治体と連携した廃棄物管理改善の推進

地方自治体の知見を活用した国際協力の推進とアジアにおける自治体ネットワークの構築

 日本でも開発途上国でも、ごみの収集・処理といった廃棄物管理は地方自治体が担っており、開発途上国における廃棄物管理の改善には、日本の各都市が培ってきた経験が大いに役立ちます。そこで、JESCは日本の地方自治体と連携して、開発途上国の行政官などを招へいした技術研修を実施しています。また、日本と開発途上国の自治体間の技術・経験の交流を促進するためのネットワークの構築を進めています。

(1)川崎市(大気環境管理に向けたキャパシティビルディング)

 川崎市には、JESCが実施してきたJICA課題別研修「大気環境管理に向けたキャパシティビルディング」において、講義・見学に協力いただいています。川崎市環境総合研究所にて、川崎市の大気汚染の歴史に関する講義、市内の自動車排出ガス測定局、一般環境大気測定局を見学し、研修員は都市の大気汚染政策・技術に対する知見を高めています。

(2)札幌市(固形廃棄物管理の基礎(A))

 札幌市には、JESCが実施してきたJICA課題別研修「固形廃棄物管理の基礎(A)」において、講義・見学に協力いただいています。札幌市役所にて、札幌市の廃棄物行政に関する講義、清掃工場、最終処分場、リサイクル団地などを見学し、研修員は都市の廃棄物管理政策・技術に対する見識を得ています。

(3)東京都(廃棄物発電導入に向けた技術能力向上)

 東京23区清掃一部事務組合は、東京23区の廃棄物処理を担っており、計21カ所の清掃工場を有しています。JESCが実施してきたJICA「廃棄物発電導入に向けた技術能力向上」においては、初年度より清掃工場の見学に協力いただいています。研修員は、日本の清掃工場が活用する技術や工場の運営方法などを学んでいます。

(4)藤沢市(廃棄物管理データの戦略的活用)

 藤沢市には、長年JESC実施してきたJICA課題別研修「廃棄物管理データの戦略的活用」に協力いただいています。本研修では、廃棄物管理政策と廃棄物データの採取・活用方法の講義と清掃工場の見学、収集運搬の効率化を図るための演習を実施しています。

アジア3R自治体間ネットワーク会合

 JESCは、廃棄物・リサイクルの分野に携わる日本・アジア各国の地方自治体が参集し、情報交換とネットワーク構築を目的とした、「アジア3R自治体間ネットワーク会合」を開催しています。第1回は、2008年にさいたま市で、それ以降は、日本各地の地方自治体と連携し、12回にわたり同会合を開催してきました。
 会合の成果は、「宣言」として発表し、参加自治体と共有しています。また、環境省が主催する「アジア太平洋3R推進フォーラム」とも連携して3Rの推進に寄与することを目指しています。

アジア太平洋3R推進フォーラム

 「アジア太平洋3R推進フォーラム」は、日本政府の提唱により、アジアでの3Rの推進に向け各国政府、国際機関、援助機関、民間セクター、研究機関、NGOなどを含む幅広い関係者の協力の基盤となるものとして、開催されてきました。同フォーラムでは、3Rに関するハイレベルの政策対話の促進、各国の3Rプロジェクト実施への支援の促進、3R推進に役立つ情報共有、ネットワーク化などが進められています。
 2009年11年、東京で第1回が開催され、その後計9回にわたりアジア大洋州各国で開催されてきました。JESCは第6回から第9回会合において、事例発表の他、会合の運営支援を実施しています。
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タイ・バンコクで開催された第9回会合の様子

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JESC理事長による発表