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 新たな付加価値を生み出す創造に挑戦

  一般財団法人日本環境衛生センター
  理事長 南川 秀樹



 昨年一年間、多くの皆様方のご支援を得て、充実した仕事をさせていただいたことに感謝申し上げます。東日本大震災、福島第一原発事故から間もなく6年を迎えます。私は、昨年12月に福島県を訪れ、除染後の農業への取り組みを話し合う研修会に参加してまいりました。市町村職員、農業者の方々が真剣に話し合う会合でした。私どもセンターは、福島県での様々な事業に参画させていただいておりますが、改めて復興への取り組みを身近に感じた次第です。

 昨年11月のアメリカ大統領選は、結果の是非はともかく、その背景にあるものは、これからの環境保全への対応に大いに考慮すべきものがあります。なんといっても米国では1980年以来広がっている経済格差が覆い隠せないほどのレベルに達しています。様々な指標からは、1929年のブラックサーズデー、それに続く戦争への駆け足時に似た、資産と所得の不平等が見て取れます。経済格差指標であるジニ係数を見ても、主要国ではトップのブラジルに続いて米国、そして中国が位置することも驚きであり、日本のジニ係数が上昇していることも忘れてはなりません。これによる社会の混乱を避けるためにとられる策は、まず内需の拡大であり、エネルギーの安定かつ低廉な供給です。こうした状況の中で、わが国も温室効果ガスの削減を講じていくことになり、それを円滑に進めるためには、廃棄物やリサイクルの世界で、いわゆる静脈産業自らの対策はもとより、動脈産業での削減が進められるような取り組みを進めていきたいと考えます。持続可能な社会を作るべく、より広い視点から社会全体で排出量を削減できるような活動に取り組みましょう。昨年11月に、日本廃棄物団体連合会が環境省に提出した地球温暖化対策の提言は、そうした観点から取りまとめました。

 廃棄物の処理、リサイクルの推進は様々な困難に直面しています。国内では、施設用地の選定でのNIMBY問題、市町村の財政逼迫を受けた事業方式の多様化などです。海外に目を転じても、有害廃棄物の輸出入によるトラブルが多発しています。

 中国などアジア地域での大気汚染などへの対応も急務です。当センターでは、アジア大気汚染研究センター(ACAP)が中心となって、アジア地域の公害対策への協力を引き続き進めてまいります。また、温暖化に伴う感染症の媒介動物対策も重要性を増しています。廃棄物の拡散や野生動物の分布拡大が、デング熱・重症熱性血小板減少症候群の出現となり、社会の大きな脅威となっています。

 私どもセンターは、各地域の実態を十分に把握しながら、関連する企業の皆様の力をお借りしつつ、技術と地域適正の融合による新たな付加価値を生み出す創造に挑戦してまいります。どこよりも早く現地に出向き、現地の情報を身を持って理解し、現地に適した解を引き出してまいります。当たり前のことを当たり前に、確実に実施してまいります。

 本年も、皆様方のご指導ご鞭撻をお願いいたします。