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 持続可能な社会の実現に向けて-新たな潮流-

  一般財団法人日本環境衛生センター
  理事長 南川 秀樹



 新年おめでとうございます。戌(いぬ)年の幕開けです。多くの皆様は、愛犬家としてこれまで以上に飼い犬を可愛がろう、散歩の時間を増やそうとお考えのことと思います。我が家も一匹の柴犬が同居しており、犬の暮らしに関係した書籍があります。それによれば、「犬は、人間にとって親しみやすい動物であり、勤勉で努力好き」との特徴を持つと書かれています。そして、いまは飼い主と飼い犬という関係が、より良い人生を共に過ごすためのパートナーとしてかけがえのない存在に変わってきているように思います。

 環境衛生問題にかかわる我がセンターの職員はいずれも「勤勉で努力好き」であり、普段からお世話になっている関係者の皆様に、引き続き、良きパートナーとして親しんでいただける存在でありたいものです。

 さて、昨今の企業の評価のあり方についての議論の変化には瞠目すべき点が多々あります。企業価値とは何か、それを高めるものは何か、こうした古くて新しい問題を考えるものです。それが、ESG(Environment、Social、Governance)投資であり、国連ではSDGs(Sustainable Development Goals)を指標として世界に大きなうねりを作っています。言うまでも無く、企業価値は先ずは株式の時価総額であり、これの大きさ、伸びが、企業の現在から近い将来にかけての収益の期待を表す指標となっています。

 環境は、ESG投資の対象として真っ先に名前の挙がるものであり、環境経営を標榜する企業が増えています。ある新聞によれば、ESG投資は世界の運用資産の3割に迫る残高を記録し、世界中の投資家が企業の環境面での行動に注目しています。公的な分野でも、ノルウェー政府年金基金の活発な動きがあり、日本のGPIF(Government Pension Investment Fund=年金積立金管理運用独立行政法人)が巨額の資金をもって環境に熱心に取り組む企業に投資していることは広く知られています。一般の企業以上に、生活環境にかかわる仕事をしている産業界では、より幅広く、そして深く、環境経営に励んでおられると承知しています。また、国連が提唱し、ピコ太郎さんが軽妙な歌と踊りで紹介しているSDGsも、より幅広い観点からのアプローチと受け止め、対応していく必要があります。日本環境衛生センターは、環境経営に努めることはもちろん、しっかりと事業に取り組み安定した経営を行ってまいります。

 他方、将来にわたる経営の視点として、永続企業であるためには何が求められるのか、という重要な課題があります。高成長、高収益に向かって一途に規模の拡大を目指す経営には欠けているものがあるという視点です。いわば企業価値は一つではないという考えです。企業は、何のためにあるのか、誰のためにあるのか、その先に、永続できる企業には何が必要かとの問題意識です。経営学では、①家業タイプ、②製品タイプ、③事業価値重視タイプが永続可能な企業、組織だといわれます。特に、③は、経営理念が身近なステークホルダーにしっかりと共有されなければなりません。そして、こうした永続企業のパターンは存続の必要条件ではあっても十分条件ではありません。しっかりとした物差しを持ちながら、多様な利害関係者と積極的に対話し、良好な関係(顔の見える関係)を続けながら経営を展開しなくはなりません。わが日本環境衛生センターでは、毎年「生活と環境全国大会」を開催し、全国の生活環境問題に関心のある方々との集まりをもっています。多くの先輩に支えられて日本全国を舞台に、60回以上開催を続けてまいりました。これ以上ない真面目で地味な研修会、勉強会ではありますが、環境問題に、またわが日本環境衛生センターの仕事に少しでも関心のある皆様に毎年数多く参加いただいています。そうした付き合いの中で、広いステークホルダーらしき形が見えてきているように感じています。社会的責任を果たすといえばそれまでですが、できるだけ多くの皆様と顔の見える関係を持続していけるように、この大会のみならず様々な公的な仕事にも努めてまいります。

 この分野の仕事も、時代とともに大きく変化してまいりました。生活衛生対策から環境汚染対策へ、そして、循環型社会創りへと、目指すものが形も中身も進化してまいりました。当然ながら、低炭素社会や自然共生社会との二人三脚ならぬ三人四脚で歩いていかなければなりません。また、AIの進歩が社会のシステムを大きく変えていくことも予想されます。ただ、科学技術の進歩は歴史をさかのぼれば明らかなように、上手に適応すれば、仕事が増えることはあっても減ることはありません。既存の仕事が無くなるだけで、恐れずに変化の本質を見極め対応することが大切です。当センターは、必ず的確な対応ができるよう努めてまいります。

 新しい年が皆様にとって良い一年になりますよう、また、引き続き、日本環境衛生センターがお役に立つ機関として可愛がっていただけますことを祈念して新年のご挨拶といたします。